私は
奇人、変人、狂人、お節介、厄介者
ロイヤルストレートフラッシュである

奇妙なコンプレックスの理由もわかる

不思議な一族であるいまさら血族にこだわるのはさすがにおかしい

しかしある人物から話は歴史であるから書き残すべきと言われてあえてぼかして書く

益田喜頓という古い俳優をご存知だろうか?

母方は皆さん江戸っ子である
祖母の妹の旦那さんが益田喜頓よりダンディーだった

白い口ヒゲ、帽子にステッキ
仕立ての三つ揃いの背広姿

大正文学青年でモテたそうである

縁談が決まる前に下宿に女性が押しかけて破談になりかけたがまあ無事結婚した

これは大おじから直接聴いた

下宿に押しかけて来た女性と戦後繁華街で偶然会ってその女性は自分の子供を連れていたが大おじの名前をつけたそうである

もう七十代と八十代の老夫婦の会話である

園芸が趣味の大おばが、「庭のお花もみんな枯れちゃったわねぇ」
すかさず大おじが
「枯れないのはお前さんだけだよ」
と言った

私にはかっこよくてとても言えない

両者とももう亡くなったから書き残す

大おじは、心筋梗塞で二度倒れていた
三度目はもうアウトだ

そして三度目の心筋梗塞の時もう帰れない事がわかった大おじは、大おばに「お前さんにはずいぶん長い事苦労かけたなぁ」と泣いて「あの本棚の何番目の本に現金でいくらあるから葬式代にしてほしい」と伝え昔の人らしく救急車が来る前に寝間着から着替え「行ってくるよ」最後の言葉を残して帰って来なかった